✍️読書記録

夕木春央『方舟』はただの密室モノじゃない──読後に震えるどんでん返し【ネタバレなし】

なぞ九郎
山田よ、今すぐ読むべき本があるのだ!
山田探
またですか、なぞ九郎さん。今度は何です?
なぞ九郎
これなのだ! 夕木春央の『方舟』! 嵐、孤島、密室、そして殺人事件──完璧なのだ!!
山田探
うわ、設定が王道ミステリですね。でも何か引っかかるな……ただの密室ものじゃない気が……。
なぞ九郎
ふふふ……山田よ、読者の予想など波にさらわれて消えるのだ。ラストでひっくり返る、その一行。必ず「うわっ」って声が出るのだ!
山田探
ということは、“方舟”って名前にも裏の意味が……?
なぞ九郎
気づいたな山田よ。これは“選ばれなかった者”たちの物語。どこまでが真実で、誰が本当に罪深いのか──すべては読んでからのお楽しみなのだ!
山田探
これは……読んだ人同士でしか語れないやつですね。ネタバレできない系のやつ……!
なぞ九郎
そうなのだ! 感想を語りたくても「語れない」このジレンマ……! 読後、読者を“試す”ようなミステリ、それが『方舟』なのだ!!
山田探
わかりました、僕も“乗船”してきます。沈むかどうかは……読んでからの判断で。




📚あらすじと書籍情報

極限状況での謎解きを楽しんだ読者に驚きの〈真相〉が襲いかかる。

友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。
いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。
生贄には、その犯人がなるべきだ。――犯人以外の全員が、そう思った。

Amazonより

書籍情報

作 者:夕木 春央

出版社:講談社

発売日:2022年9月8日

👑主な受賞

「週刊文春ミステリーベスト10」第1位

「MRC大賞2022」第1位

「2023本格ミステリ・ベスト10」第2位

「2023年本屋大賞」第7位

「啓文堂書店文庫大賞2024」第1位

👥 登場人物の紹介

名前特徴
越野 柊一本作の主人公。元登山サークルメンバー。システムエンジニアリングとして働く。
篠田 翔太郎本作の探偵役。柊一の従兄弟。親の遺産を相続する。
西村 裕哉元登山サークルメンバー。アパレルスタッフとして働く。過去に地下建築「方舟」を見つける。
緑山 隆平元登山サークルメンバー。ジムのインストラクターとして働く。麻衣の夫。
緑山 麻衣元登山サークルメンバー。幼稚園の先生として働く。隆平の妻。
高津 花元登山サークルのメンバー。事務員として働く。
野内 さやか元登山サークルメンバー。ヨガ教室の受付として働く。
矢崎 幸太郎偶然出会った家族。隼斗の父親。電気工事士として働く。
矢崎 弘子偶然出会った家族。隼斗の母親。
矢崎 隼斗偶然出会った家族。幸太郎と弘子の子ども。高校生。

💡 推しポイント

  • 密室×タイムリミットの緊張感:密室となった地下施設で起こる連続殺人。施設内に水が侵入し逃げ場のない絶望感が迫る!
  • 伏線の張り方と構成力:何気ない違和感が終盤で見事に回収される快感。
  • タイトル『方舟』の意味が反転:読後、「救いの船」ではなかったことに気づく衝撃。

🕵️‍♂️ なぞ九郎のひとこと

「この本は、ミステリ好きにとって“覚悟が必要な船”なのだ。真実を知ってもなお、“それ”を受け止められるか──お前も、乗るか? それとも……降りるのだ?」

🎯 こんな人におすすめ!

  • 密室ミステリと心理戦が好きな人
  • 王道のどんでん返しを求めている人
  • 『十角館の殺人』『medium』『屍人荘の殺人』に痺れた人
  • 読後に誰かと語りたくなる本を探している人

📘「読後、すぐに誰かに薦めたくなるけど、薦めるときに何も言えない──」そんなジレンマすら楽しい、2020年代の傑作ミステリなのだ!映像化映え間違いなし!

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