あらすじ
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒として死者の言葉を伝えることができる。しかしそこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かう。一方、巷では連続殺人鬼が人々を脅かしていた。証拠を残さない殺人鬼を追い詰められるのは、翡翠の力のみ。だが殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。
Amazonより
作 者:相沢 沙呼
出版社:講談社
発売日:2019年9月12日
脅威のミステリ賞5冠獲得
★第20回本格ミステリ大賞受賞
★このミステリーがすごい! 1位
★本格ミステリ・ベスト10 1位
★SRの会ミステリベスト10 1位
★2019年ベストブック
2020年本屋大賞ノミネート
第41回吉川英治文学新人賞候補!
と各賞を総ナメした令和を代表するミステリ小説です。
プロ野球選手で例えるなら投手部門4冠を総ナメしている”山本由伸投手”ですかね(笑)
話の構成と各話のあらすじ
プロローグ、エピローグと全4話のエピソードに加え、各話の間に最終話へとつながっていく「インタールード I – III」が挿入される構成となっています。
・プロローグ
・第1話 泣き女の殺人
・インタールードⅠ
・第2話 水鏡荘の殺人
・インタールードⅡ
・第3話 女子高生連続絞殺事件
・インタールードⅢ
・最終話 VSエリミネーター
・エピローグ
第1話 泣き女の殺人
推理作家の香月史郎は、大学の後輩・倉持結花のつきそいで、霊能者に会うことになる。結花は占い師から、泣いている女に憑かれていると言われ、それから女が夢枕に立つようになり悩んでいた。美貌の霊媒師・城塚翡翠は不思議な力を香月と結花に見せ、夢枕の理由を探るために結花の家に行くことを提案する。翌週、香月は翡翠とともに結花の自宅に向かい、そこで頭から血を流した結花の遺体を発見する。
第2話 水鏡荘の殺人
香月は翡翠を連れて、小説家と編集者によるバーベキューパーティーに参加する。パーティーが行われた水鏡荘では、鏡に謎の女性が映るという怪異が発生していた。香月と翡翠は霊障の原因を調べるため、深夜までリビングにとどまる。翌朝、水鏡荘の家主・黒越篤の遺体が彼の仕事場で発見される。翡翠は香月に突然「犯人は、別所さんです」と告げる。翡翠は霊視したというが証拠は何もなく、香月は困惑する。
第3話 女子高生連続絞殺事件
香月はサイン会に現れた女子高生・藤間菜月に、自分の高校の二人の女子生徒が犠牲になった連続殺人事件を解決してほしいと懇願される。香月は捜査一課の鐘場正和に連絡を取り、翡翠や捜査一課の若手刑事・蛯名海斗とともに、遺体が発見された公園と工事現場跡地を回り、高校を訪問して生徒から話を聞く。だが犯人が見つからないうちに第三の事件が発生し、菜月が犠牲になってしまう。
最終話 V Sエリミネーター
香月は連続死体遺棄事件の被害者の遺族から、殺人鬼を捕まえてほしいと依頼される。4年前から関東で発生している、20代の女性を狙ったシリアルキラーによる殺人事件。いまだ殺害現場が特定されていないため、殺された場所にいる霊を呼び出すという翡翠の降霊の能力は使えず、翡翠は犯人にたどり着けないだろうと香月は考えていた。一方、翡翠は連続殺人鬼・鶴丘文樹に命を狙われていた。
タイトルに”霊媒探偵”とある通り、翡翠は霊媒となって死者の魂を自身に降霊させます。その結果、霊視によって普通の人には見えないものを見たりして、犯人を割り出します。
ところが、ここで問題が発生!
それは、翡翠の霊媒として得た情報はそのままでは証拠にならないということです。降霊して犯人が分かったとしても、その情報だけで警察は容疑者を逮捕することはできません。逮捕するには科学的な証明が必要ですが、翡翠は自分の得た情報を科学的な証拠と結びつけることができません。
そこで活躍するのがミステリ作家の香月です。翡翠の見たものから論理を組み立てて犯人逮捕へと導きます。霊媒という特殊設定で終わらせることなく、そこにきちんと論理を取り入れることで本格ミステリとしても楽しむことができます。
#翡翠ちゃんかわいい
この小説を語るうえで翡翠の魅力を避けては通れません。とにかくあざとい翡翠ちゃん(笑)翡翠ちゃんの行動ひとつひとつがあざとくて男性なら誰しも彼女に夢中になること間違いなし!事件を通して翡翠と香月の距離もだんだん縮まっていくのでそこの注目です。
作者の相沢沙呼さんも感想で困ったら#翡翠ちゃんかわいいとツイートしてください。とおっしゃられていますのでそこは意識して描かれていると思います。
「すべてが、伏線」最後は驚愕の展開へ
本書のキャッチコピーは「すべてが、伏線」です。
ミステリをよく読まれている方は、霊媒師✕ミステリ作家のバディで捜査協力して事件を解決していく。この展開は過去の作品にもありそうな設定だなと感じるかもしれません。
あるいは翡翠ちゃんの行動があざとすぎて読んでいてイライラするだとか気持ち悪いと感想を持たれた方もレビューを見るといらっしゃるようです。
そんな人にぜひとも言いたいのは・・・とにかく最後まで読んで!!
途中のモヤモヤも最後にすべてスッキリと回収されます。
何を言ってもネタバレになるのでこれ以上は何も言えません。
どんでん返しの名作として紹介されている作品にも引けを取らない驚きの展開が後半に待っています。ページをめくる手が止まらなくなり、最後まで一気読み間違いなし!
テレビドラマ化
『霊媒探偵・城塚翡翠』のタイトルで、2022年10月16日から11月13日まで日本テレビ系「日曜ドラマ」枠にて放送されました。主演は清原果耶さん。
城塚翡翠・・・清原果耶さん
香月史郎・・・瀬戸康史さん
千和崎真・・・小芝風花さん
鐘場正和・・・及川光博さん
漫画化
作画は清原紘が担当し、『月刊アフタヌーン』2022年11月号より2023年11月号まで連載。
原作:相沢沙呼
漫画:清原紘
出版社:講談社アフタヌーンKC
巻数:全3巻
最後に
medium 霊媒探偵城塚翡翠はミステリ賞5冠作品ということもあってさまざまな媒体で楽しむことができます。一番のおすすめはもちろん原作小説です。
でも自分が見やすい媒体から入ってOK!とにかくこの作品に触れてほしい!触れないなんてほんとにもったいないです。
また原作小説には続編があります。2024年4月段階で2冊出版されています。
“invert 城塚翡翠 倒叙集“ “invert Ⅱ 覗き窓の死角 城塚翡翠”です。この2冊もおすすめなのでぜひ読んでみてください。