
パンの香りが漂ってくると、なぜか胸がざわつくのだ……これは、事件の匂い……いや、バターの匂いか?




前者だったら警察呼ぶけど、後者ならパン屋に行け。 ていうか、ただパンが食べたいだけだろ。




ちがうのだ! この物語では、クロワッサンの裏に友情のヒビが、シナモンロールの奥に恋の行方が、チョココロネの先には……犯人がいるのだ!




いるか!?チョココロネの中に!? いや、たぶんそれはチョコクリームだよ。




ふふん。とにかく、パン屋〈ノスティモ〉には小さくてあたたかな謎がたくさん転がっているのだ。 焼きたての真相、君も一緒に味わってみるぴよ!




(この紹介、パンより焼きたてかもしれん……)
2025年
第23回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作
クロワッサン、フランスパン、シナモンロール、チョココロネ、カレーパン…
焼きたてのパンの香りが広がる〈日常の謎〉ミステリー!
選考委員絶賛!
「全体を包む空気感が魅力的」――大森望(翻訳家・書評家)
「おいしそうなパンの魅力で読ませる」――香山二三郎(コラムニスト)
「読者のもてなし方を分かっている」――瀧井朝世(ライター)
「決め手は、この味わいの心地よさだ」――吉野仁(書評家)
(あらすじ)
大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉でアルバイトをしていた。あるとき、同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして?
疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく……。パン屋を舞台とした〈日常の謎〉連作ミステリー!Amazonより
作 者:土屋 うさぎ
出版社:宝島社
発売日:2025年1月10日
👑受賞一覧👑
- このミステリーがすごい!2025年版
👥 登場人物の紹介
🥖 市倉小春(いちくら こはる)
大学1年生でノスティモのバイト店員。漫画家になる夢を持ち、観察力と勘の鋭さで日常に潜む謎を解いていく。
👨🍳 堂前店長(どうまえ てんちょう)
ノスティモのオーナーで、パン職人。パリ修行経験もあるパンマニア。野球好き。
🍞 福尾さん(ふくおさん)
ノスティモの頼れる女性店員。将来は独立して自分のパン屋を持つのが夢。
🧢 レナ先輩
ノスティモの古参バイト。自由奔放でちょっぴりやんちゃ。ムードメーカー的存在。
🎀 紗都美(さとみ)
ノスティモのパティスリー担当。Vチューバー「香箱チョキミ」としての顔も持つ、二面性キャラ。
🎮 由貴子(ゆきこ)
小春の親友。人気ソーシャルゲーム『想剣演舞』のファン。ある日、ノスティモを辞めると告げるが、その理由は…?
🧁 その他登場人物
- ハセピー:由貴子の“推し”。意外な関係が明らかに…?
- 道長くん:豊中中央高校野球部のキャッチャー。
- 美桜ちゃん:道長くんの幼馴染で、彼に片想い中。
- 凛ちゃん:小学1年生。チョココロネが大好きなノスティモの常連。
- 葉子さん:凛ちゃんのおっとりママ。
- 梢江さん:気品あるおばあちゃん。思い出のカレーパンを探すためにノスティモを訪れる。
📚各章ごとの見どころと登場人物
第1章「焦げたクロワッサン」──親友のドタキャンの謎
登場人物:
市倉小春(主人公/ノスティモのバイト)
由貴子(小春の親友)
ライブビューイングをドタキャンした親友・由貴子。
その理由を、小春はさりげない仕草や言葉の裏に隠された想いから読み解いていく。
ささやかな誤解が、やさしくほどけていく瞬間にじんわりぴよ。
第2章「夢見るフランスパン」──切れないクープの理由とは?
登場人物:
紗都美(パティスリー担当/Vチューバー香箱チョキミ)
市倉小春
仕事は完璧な先輩・紗都美。でもなぜか「フランスパンの切れ込み」だけはうまくできない。
心の奥に秘めた葛藤と、もう一つの顔が浮かび上がる繊細なストーリー。
“得意なはずのことができない理由”に気づいた小春の推理が冴えるぴよ。
第3章「恋するシナモンロール」──あの子の恋の行方は?
登場人物:
市倉小春
道長君(高校球児)
美桜ちゃん(幼なじみ)
ヒョウ柄おばちゃんとバトルしてまでシナモンロールを買った女子高生。
彼女が見つめていたのは、カフェで談笑する男子だった――
恋に不器用な高校生たちのやりとりに、小春もほっこり。
パンと恋がリンクする、甘く香ばしい一編ぴよ!
第4章「さよならチョココロネ」──ひったくり事件とパン屋
登場人物:
凛ちゃん(小学1年生/チョココロネが好き)
葉子さん(凛ちゃんの母)
市倉小春
突然のチョココロネ販売中止。そしてその日に発生したひったくり事件――。
まさかその2つに関係が?と、小春が着目したのはある「言葉のヒント」。
優しい謎解きが、街のあたたかさを感じさせてくれるのだ。
第5章「思い出のカレーパン」──三十年越しの味を求めて
登場人物:
梢江さん(気品あるおばあちゃん)
市倉小春
レナ先輩(自由奔放な古参バイト)
「三十年前のカレーパンが食べたい」
老婦人の言葉に心動かされた小春とレナ先輩は、豊中中のパン屋をめぐって記憶をたどる。
ノスティモのパンが、人の想い出をつなぎなおす物語。
ほろりと泣けるラストが待っているぴよ。
💡推しポイント
- ミステリだけど人が死なない!だから安心して読める
- 全編にパンの香りが漂うような、温かくてほのぼのした雰囲気
- 事件のカギは観察力と人の心への理解!「日常の謎」が見事に解き明かされる
- パンにまつわる豆知識が章の最後に毎回登場。クロワッサンの起源など、読後にパン屋へ走りたくなる!
- 舞台は豊中市。大阪が好きな人にもニッコリぴよ!
🐧なぞ九郎のひとこと


でも小春ちゃんの観察力とやさしさが、ノスティモを包み込むように謎をほどいていくのだ。
ぼくもいっしょに推理しながら、ついカレーパンを食べたくなったのだ……! 読み終えたころには、パン屋さんに寄り道したくなることまちがいなしなのだ!
人が死なないミステリは精神的に落ち着くぴよ。
日常の中にこそ、謎のタネが転がってるぴよ!
🎯こんな人におすすめ!
- 殺伐とした話が苦手な人
- パンが大好きな人
- 疲れた心をちょっと癒したい人
- 日常系ミステリが好きな人
- 温かい気持ちになれる物語を求めている人
📝まとめ
『謎の香りはパン屋から』は、パンと優しさに満ちた“日常の謎”ミステリ。
ちょっとした違和感から真実に迫る市倉小春の視点は、読者にとっても心の拠り所になるぴよ。
全章に登場する美味しそうなパンと、パンにまつわる豆知識が物語をふくらませてくれるのだ。
読み終わったあと、きっとあなたもパン屋さんに立ち寄りたくなること間違いなしぴよ!